2020.09.30

データの読み方を知ろう その1

今回は「データを見せるときに使うテクニック」を紹介します。
「あれ?データの読み方じゃないの?」
と思われる方もいらっしゃるでしょうが、データを読むには、データを見せる側がどの様なテクニックを使っているかを知らなければ、正しく読める様になりません。ですから、今回は「データの見せ方」を学ぶことで、「データの読み方」を知るわけです。

例えば次のようなグラフを見たことはないでしょうか?

これはとある市の人口変化予想をグラフ化したものです。青は総人口、オレンジは老年人口です。老年人口は右肩上がりに上がっているのに対し、総人口は2020年をピークに急激に減っていくように見えます。将来は年金の負担が大きくなるという主張をしたいときに、よく見るグラフです。
実はこれ、筆者の作成したかなり悪意のあるグラフです。よく見ると左右の目盛がまったく異なる事がわかります。総人口は左、老年人口は右の目盛になっていますが、原点となるべき一番下の目盛は0ではありません。0からのグラフにしてしまうと大きな変化があるように見えないため、変化を強調しているのです。

ちなみに元々のグラフは次の通りです。

これでも老年人口が増えていることはわかりますが、先ほどとは印象が大きく異なるのではないでしょうか。

そしてもし、本格的に危機感を煽るグラフにするなら、次のようにします。

まず太い矢印を加えます。これによって実際のグラフの変化よりも矢印の傾きに意識を誘導します。傾きはなるべく大きな方が良いです。
同時に左右の目盛を消し、総人口・老年人口とも最も多い数字を書き入れます。なんなら老年人口の方の文字サイズを大きくします。ここまで来ると誘導する気満々なので、悪意の塊です。本来のグラフも、いじりようによってはここまで異なる印象のものに変化させられるというのがわかると思います。

もう一つ、誤った認識に誘導するためのテクニックとして「線」があります。次の3つのグラフはすべて同じ散布図です。異なるのは線の引き方です。

全体的に下がり基調の線であるのは同じですが、一度上がって下がるのか、それとも上がった後2回のピークの後に下がるのか。これだけでも印象が変わって見えると思います。

本来はデータとなっている点がどのような関係にあるのかを知るために「フィッティング」という操作を行うことで、このような線が現れます。ですが、フィッティングに用いる多項式を誤る、簡単に言えば線の引き方を誤ると、本来の関係とは異なるものとして見えてしまいます。逆に、自分の有利な結論に導くため、あえてそのような線を引く場合もあります。

データを読むときには、目盛を確認し、引かれている線に惑わされないよう、慎重に読んでいきましょう。大元のグラフの状態を想像できれば、作者が何を意図してそのグラフを作ったのかもわかるようになります。


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