2022.01.14

私の感動体験

某クリエイター養成スクールに勤務していた頃の話です。入学に関する話が聞きたいと突然いらっしゃった方がいるので対応して欲しいと受付からコールがあり、私が対応する事になりました。

20代前半とおぼしきその方は早稲田大学を卒業されたばかりで、卒業後すぐここに入学したいとおっしゃるのです。

私はファイナルファンタジーシリーズを制作するために生まれてきました。

その言葉に思わず、早稲田を卒業したならCGを創るのではなく、未来の社会を創るべきじゃないのか?と突っ込んだのを覚えています。私の冗談に彼は、名のある大学を出たのは育ててくれた親に対する孝行でここからが自分の人生だと言い切りました。そこまでの覚悟でいらっしゃるのであればと、美大芸大を卒業されてからここに来られる方が殆どである事からハンデを背負った状態で入学される事になる等、多少厳し目の説明を差し上げました。それでも彼は全く怯まず願書を提出し帰られました。

入試をクリアした彼は、入学後も素晴らしい作品の数々を創りました。そして卒業時に2人でタッグを組んで創り上げたCGムービー作品が年間の最優秀作品に選ばれたのです。

もちろん受賞の瞬間を生で見ていた私ですが、感動ポイントはまだ先の話。

当時の私は休みを返上して自身が勤めるスクールに学生としても通っていたので遊ぶ時間はほぼ取れなかったのですが、それでも空き時間を作ってはゲームに費やしていました。中でもPS2の超大作であるFF10は睡眠時間を削ってプレイするだけの魅力がありました。

当時としては画期的な3DCGのクオリティーと世界観を最後まで堪能し、エンディングテロップを眺めていた時、そこに彼の名前を発見したのです。

有言実行とはまさにこのこと。

「ファイナルファンタジーシリーズを制作するために生まれてきた」を確認した瞬間でした。

時間をかけて対面で話をしてきた受講生の成功の瞬間は何にも勝る感動です。

話しは少し飛びますが、我々は日々業務で忙しくされている先生方にもっと子どもたちと触れ合い、こうした感動を得る瞬間を増やして欲しい。

デジタルに置き換える事が出来る業務は時短の可能性がある部分です。そこで生まれた時間で子供たちと触れ合う時間を増やして頂くお手伝いができる教材をこれからも提供し続けたいと考えています。

Written by S.Seki