2025.11.04

SPIを使う理由 ~採用担当面接官にも見抜けないメッキをコーティングした話~

「SPIを使う理由」で検索すると様々な記事、コラムが出てきます。それらを読むとざっくり以下のように集約できました。

1. 言語能力や論理的思考力などのベーシックな能力を数値で客観的に測ることができる
2. 性格診断を行うことで企業と応募者の相性が可視化される
3. 現在活躍中の社員のスコアと比較することで、活躍が期待できる応募者を洗い出せる
4. 面接担当者の審査スキルだけに頼らなくてよい

1と2は当然の内容で、3は結果データを経年比較する企業でよく聞かれます。ここまでは私が同様の質問をされてもそれほどの差異なく返答するだろうなと思ったのですが、4には「なるほど!」と思わされました。
私が東京本社のベンチャー企業の大阪支部に勤務していた頃の話です。新卒採用のため大阪で会社説明会を行った際、質疑応答を終えた後に私のところに来て追加質問してきた学生がいました。私はその時、彼は非常に優秀な人材だが自社の社風には全くマッチしないと感じました。

でもここが第1志望で絶対に就職したいと、その理由を含め私に熱くプレゼンしてくる彼に根負けし、当時の勤務先が好きそうな受け答えを必勝法として彼に授けたのです。

しかし私は彼を手助けしつつもこう考えていました。
私の授けた言葉を彼が一言一句間違わず言えたとしても、そんなメッキくらいうちの面接官は簡単にはがす。マッチしない会社で働かせるのは彼のためにならない。不採用になるべきだし、もちろんそうなるだろう…

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半年後

彼から私にメールが届きました。お陰様で内定を頂きましたと。
いやいやいや、確かに彼は優秀でしたが、企業風土と照らし合わせたら採用すべき人じゃないのは明らかなんです。皆さんだってワンピースのルフィが銀行員になりたいと言いだしたら、お前にその仕事は向いてない!海賊王を目指せと諭すでしょうし、キャプテン翼が20世紀少年のカツマタ君になりたいと言い出したら、そっちのともだちやない!君のともだちはボールであることを思い出させようとするでしょう?
それくらいわかりやすいギャップだったはずなのに、面接官(及び最終面接を行った役員)は彼に内定を出したのです。あの時SPIがあり、当時の勤務先がそれを解析して合否判定していればこのような悲劇はおきなかったでしょう。

企業の採用にはコストがかかっています。
個人の就職活動には人生がかかっています。
求める人材とかけ離れた人物を採用することは双方にとって不幸せです。

幸い彼はその後転職し彼の力が発揮できる本来の場所で生き生きと活動中ですが、そこにたどり着くまでにもっと有意義に使えた時間があったはずです。SPIなどの就職適性検査を取り入れている企業には、データを最大限活用した双方にとって幸せな採用活動をと願わずにいられません。

Written by S.Seki


備えあれば幸せな内定あり