2020.07.31

数字でだます技術

「フェイク」ではないのですが、「誇張」などでだます技術というのがあります。特に数字や、数字をグラフ化したものは、視覚的にミスリードを誘うようなものが数多くあります。

例えば数字のマジック。
少し古い情報ですが、2009年に厚生労働省が調査した「所得金額階級別にみた世帯数の相対度数分布」を見ると、世帯の平均所得金額は547万5千円となっています。つまりこれよりも下の世帯は平均以下ということになります。

出典:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa09/2-2.html)

ここで気をつける必要があるのは、日本の世帯の半分は平均年収が547万5千円以下だと勘違いしないことです。所得の場合、所得の低い世帯が多く、収入が上がるに従い世帯数は減っていきます。ですが、一部の高所得世帯の収入が平均値を押し上げるのです。
ちなみにこの年では、収入が500万円未満の世帯は56.6%です。収入が平均以下の世帯は全体の6割ほどになるのです。
では、全世帯のちょうど真ん中の世帯収入はいくらかというと、427万円です。これを「中央値」と言います。このような分布の場合は平均値ではなく、中央値を使う必要があります。
これは中学校の数学で学習するのですが、使えていない人が多いんですよね。

もう一つ、もっと簡単にだまされるマジックを紹介しましょう。
「日本では犯罪者の90%以上が日常的にこの食品を食べている」
このような書き方をされると
「そんな恐ろしい食品は禁止してしまえ」
と思うのではないでしょうか。実はこれ、米です。パンでも構いません。犯罪者であろうがなかろうが、日本人であれば普段から口にする食品です。パンとか小麦粉と言い換えれば、世界中で通用するようになるかも知れません。ベン図にすると次のようになります。

ほとんどの人が米は食べますが、犯罪は起こしません。もちろん米を食べない人もほとんどの人は犯罪を起こしません。重要なのは
「ウソではないけど、全てを説明してもいない」
という情報をいかにして見分けるかです。数字を出す場合は、
「こっちの方がわかりやすいだろう」
「いつもこれを出しているから」

と、一部の数字を抜粋して出す場合があります。数字を出す側に悪意はありませんが、ミスリードしてしまう可能性は常にあります。

逆にあえてミスリードさせるために、自分に都合の悪い情報を隠し、都合の良い数字だけを出す場合もあります。
近年は「エビデンスを出せ」というツッコミを入れる方が増えて来ましたが、出て来た数字が本当にエビデンスとして成り立っているかはしっかりと見きわめる必要があります。
「もし自分がこの立場だったら、どの数字を出し、どれは省くだろうか?」
を考えると良いでしょう。


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