2021.04.16

日本語の時制教育について

先日、国語の教材を作っていて、「小学校低学年の『文法』とは何か」という疑問に直面しました。
その解消のために教科書やワークから、国語の単元を読み解いたときのことです。

小1の国語は「読み・書き」が重視され、ほとんど「文法」という形では扱いません。
せいぜい、助詞「てにをは」のさわりが、「くっつくことば」としてあるくらいです。

小2では、少しだけ「日本語を読み解く」技術になります。
主語と述語を習い、主体と行動、目的の「格」がわかるようになります。

小3になれば、指示語です。
指示語が指す内容を問う問題は、小学生から大学受験、ひいては就職対策まで、「国語」や「読解力」の問題としては鉄板です。この辺りから、「文法」の学習が「らしく」なってきます。

小4では接続語を習うので、ここから先は「複文」を中心に、扱う文章や格の関係がぐっと複雑になっていきます。

ここまで分析してみて、おや、と思ったことがあります。
国語に、学問的に「時制」を教える課程が全くないということです。小5以上でも学校で「時制」を習うことはありません。

振り返ってみれば、「過去形」は、小1の物語文の中でも使われています
それこそ、物語文は、ほとんどの文章が過去形、つまり「~ました」で終わる文章です。
しかも、物語中の時制は、教科書ワークや問題集も、取り上げていません。

例えば、小学校1年生の物語文「おおきなかぶ」を引用してみましょう。
冒頭、「おじいさんが種をまいた」ときのセリフとして「あまい あまい かぶに なれ」と言っています。
この「種をまいた」という過去の時制のなかで、「かぶに なれ」という未来に向けた時制があることに、児童は疑問を感じないということです。
それくらい、小学校1年生の時点で、日本語の「時制の感覚」は身についているのでしょうか。
では逆に、それほど自然に身についている「時制」が、「英語」の学習では、なぜ多くの学生の頭を悩ませているのか。
その原因は、「時制」を学問として、国語で学習していないからではないでしょうか。

「現在進行形:~している(ところ)」「未来:~だろう」「過去完了:すでに~していた」など、複雑化した時制も、学問として習う単元はありません。

日本語の「時制」は、助動詞「た(だ)」が基本です。ただし、「過去」の意味も「完了」の意味も持っています。
それが「未然形」に活用して「だろ」になり、そこに推量の助詞「う/よう」がつくと、今度は「だろう」という未来推量の意味に変わります。
「品詞」の学習で、この辺りをもっと深く掘り下げることが必要なのではないでしょうか。

弊社の「まなブリッジ!ドリル」では、中学校国語の文法として、文節や品詞の分類、格の関係などを学問的に取り扱います。
「文法がわからなくても日常会話には困らない」と思わず、学問的に国語を見つめ直してください。

Written by Y.Nakai


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