2021.09.19
前回の続きになります。
大学院でのプロデューサー教育は思いのほか順調だったように思います。原因は簡単で、当時そのようなカリキュラムを展開している大学院は他になく、素養をお持ちの社会人の方が学びにいらっしゃったからです。入試に倍率が出ると学校はより優秀な方に合格を出すわけなので、強い思考要因、行動要因をお持ちだと思われる方に入学頂ければよいと言う事です。教えられない要因を持っているか否かを合否判定の基準とすればひとまず現場での問題はなくなります。
非常に優秀な院生の皆さんとコミュニケーションを取るたびに、この知識や技術をお持ちの方が更に上を目指されて学び研究されるその姿勢に感心し、尊敬し、運営スタッフの一人として喜びを感じる一方で、これを汎用的な学問として広げる事の難しさを痛感していました。
その後現在の会社に転職し、教育を基幹事業へと転換させる事を決めました。業界全体から見てもかなり早い段階で教育ビッグデータを取得し、解析するシステムを既に持っていた事がその決め手となりました。
現場での教育はそこに集う方たちをだけ対象としますが、教材開発はその教材が広まれば広まるだけ多くの方を対象とする事ができます。行動要因に繋がる強い思考要因を育む教材を作ってみたい、ここならそれが可能だと考えました。
土佐藩の郷士坂本龍馬は澤村惣之丞と共に脱藩しています。この事象を受験の為の勉強とすれば「坂本龍馬は西暦何年に脱藩したか」などと問う事になるでしょう。では思考要因を育む設題をと考えた場合どうなるでしょうか。「坂本龍馬は何故(どのタイミングで)脱藩すると決意をしたのか」としてみてはどうでしょうか。大人になれば何度となく直面する答えは見当たらないがジャッジしなくてはならない場面。これを切り抜けるヒントは歴史にあるかも知れません。何故今なのか、何故自分なのか、PlanAに対しPlanBにはどんな方法があったのか、何故PlanAを選んだのか。そこに見え隠れする必然性を受験に必要な要素と共に学ぶ教材があれば意欲をもって学んでもらえるかも知れません。
思考要因の発芽は様々な問いに対する回答にも出てくると考えられます。それらは目には見えにくいかも知れませんがデータには確実に蓄積されます。それを解析する事ができればどのタイミングで思考に変化がおきたのかを導き出せる…
上記はほんの一例ですが、過去環境要因にリーチしにくくとも思考要因・行動要因に影響を及ぼす事ができる教育にはいくつもの方法があると希望を抱いています。 新しいビジネスを創造するプロデューサーや起業家マインドを持たせる教材に必要な要素は何か。この課題を常に抱き、我々自身もワクワクしながら開発を続けていきたいと考えています。
Written by S.Seki
調べ、考え、答えを導き出す。時事ニュースを通じ
自分の意見を導き出し発表できる力をつける