2022.02.25

子どもを「読書好き」にする方法

 「読書離れ」が取り沙汰されて久しい今日。「子どもを読書好きにする方法」は、教育コンテンツの企画者として長らく検討してきたテーマです。かく申す私自身は、お恥ずかしながら元々読書好きなどではなく、夏休みの宿題「読書感想文」で途方に暮れつつ何某かを書きなぐった口です。

 そんな分際だからこそ、読書を促す教育コンテンツを思索していたある日、ふと本好きの友人に「どうして読書するの?」と尋ねてみました。すると「楽しいから」という単純明快な返答があり、目から鱗が。読書好きな人には当たり前過ぎることと思いますが、読書が楽しいことを知っているか否か、ただそれだけの話だったのです。本のCMも、知識や教養を得るのに必要だという説教も必要ないのです。

 このことから、読書を「すべきこと」、つまりタスク化してしまうことが、子ども達を読書から遠ざける原因ではないかと考えるに至りました。知識や教養、宿題や感想文のための読書となると、先のコラムに書きました「外発的動機づけ」ばかりが増えてしまい、読書自体を目的とする読書家にはなり難いでしょう。無理に本を選んで書き方の分からない感想文など書かされた日には、本から子どもの心を遠ざけるばかりではないでしょうか。(昔、祖母に夏目漱石の本を手渡された時には「読まなければ」と負担に感じたこと、その時の自分には面白い内容ではなく漱石に対する苦手意識だけが残ったことが思い出されます。)

 このように考えると、読書好きを育む上では学校教育等での「読書のタスク化」が起きる前に読書の楽しさそのものを十分に体験する機会が必要だと考えられます。また、「マンガやラノベはダメ」等といった制限は設けず、あらゆる書物をフラットに捉え、その時々の興味を満たす本を自由に選んで楽しむ読書体験を重ねることが重要だと考えます。

 周りにいる大人の読書への姿勢も、大きく関わってくるでしょう。大人がスマホやテレビばかり眺めているのに、子どもに本を楽しめと言うのは土台無理な話。読書を特別なイベントにせず、他のエンターテイメントと混ぜこぜにして日常生活に溶け込ませること。そして、気負わない読書の楽しみを大人が伝えることが、周囲から真似ぶ(学ぶ)子どもに重要な刺激となるのではないでしょうか。

 以上のような考えから、私自身は漸く気負わず読書できるようになり、以前よりも読書が好きになりました。インターネット上の情報は無数にあり、玉石混交です。子ども達が自発的に質の高い読書を行えるよう、弊社は検討・提案を続けて参ります。この4月には、「まなブリッジ!」小学校総合学習編の新ラインナップ「文章創作」をリリースします。時事をテーマにお話や感想文を日常的につくるトレーニングを行うもので、子ども達の創造力を育み、読書感想文への苦手意識を解消するための一助となることを目指して準備中です。どうぞご期待ください。

Written by H.Owa


日々の学習と社会を繋げるデジタル教材。
小さな気付きを好奇心に変え、学ぶ意欲を創造する