2022.03.04

インストラクショナルデザイン その3(評価・改善)

さて、前回前々回とインストラクショナルデザインについて、基本的な考え方を書いてきました。今回は「評価」「改善」に相当する部分をお話しします。前回が「開発」の話でしたので、本来ならば「実施」の部分があるのですが、そこはつつがなく実施されたこととします。

評価に関してはテストの結果とアンケートへの回答から分析するのが一般的です。ただし、下記の観点が入っていなければ意味がありません。

・教育を実施しなければいけなかった理由(問題点)は解消されたか
・教育の結果、学習者は目的通りの行動変容を示したか
・学習者は目標である知識や技能を修得したか

これら3点はテストの結果や上長(学校の場合は教員や校長)へのアンケートで取得する必要があります。

また

・学習者は内容に満足しているか
・学習者の上長(または教員や校長など)や所属する組織(または学校)は満足しているか

これら2点はアンケートによる回答からの分析となります。

これまでも企業研修ではこれらの評価が行われてこなかったことが問題点として挙げられてきました。もうちょっと言えば、企業研修のみならず小学校~高等学校においても十分な評価が行われていないのではないでしょうか。大学ではFDなどでずいぶんと実施されてきていますし、塾や予備校といった教育産業では教員の教え方やわかりやすさについての調査が行われていますが、それ以外の組織での「評価」はほとんど聞いたことがありません。
eラーニングであるかないかに関係なく、教員や講師が直接教える場合でも、その教育効果については評価が大前提になければいけないのです。そういう意味では埼玉県が行っている学力調査とその結果を教員の研修に役立てようとする姿勢は、このインストラクショナルデザインにおける「評価」、そしてそこからの「改善」につなげる良い取り組みであるといえます。このことを意識して行っているのかどうかはヒアリングしてみないとわかりませんが。

また「評価」は何度か行う必要があります。学習内容の定着率は時間が経つと落ちていきますので、もし
「時間が経っても一定レベルの定着率があること」
という目標を立てていた場合には、数ヶ月の時間をおいて再テストを行うなどの方法が必要です。

その上で、評価の結果が当初立てた目標を満たしていたのかいないのか、満たしていないとすればそれは教材の問題なのか、それともコース設計の問題なのかなども「評価」したうえで、改善を施します。

また企業においては費用対効果なども重要な「評価」「改善」のポイントになります。十分な結果を得られたとしても、コストがかかりすぎるようだと次回は改善が必要でしょう。
このようにインストラクショナルデザインは教育や研修を考える上では大変重要なのです。要は
「キチンとPDCAサイクルを回しなさい」
ということですね。

Written by T.T.Yamada


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