2022.06.10

記憶と感情

時間をかけて勉強した内容を翌日には忘れている。受験勉強ではよくある事かと思います。

「忘却曲線」と検索してみてください。忘れた知識を記憶しなおそうとした場合に最初と比較してどの程度時間を節約できるかを表す数値を曲線で表したグラフが出てきます。

ドイツの心理学者エビングハウスは意味を持たない音節の記憶の忘却を忘却曲線で端的に表していますが、同時に復習により短時間で記憶を呼び戻せる事も表しています。

ところが復習をしなくとも強烈に記憶に残る場合もあります。

数十年前、法の精神の著者であるモンテスキューの名前をなかなか覚えられなかった私は父にその事を告げると

「まみむめモンテスキューと覚えなさい」

と言われました。法の精神とまみむめが無関係すぎて、それでは覚えられないとその時は大笑いしたのですが、結果としては未だに頭にこびりついて離れてくれないのが「まみむめモンテスキュー」です。

ふとした時によく思い出すエピソードもあります。

仲良くしていたアマチュアカメラマンのA氏の姪っ子さんが社会人になられるお祝いにデジカメをプレゼントされた時の話です。まだケータイにカメラ機能が付くか付かないかの頃ですからデジカメがかなり売れていた時代でした。若い女性へのプレゼントですから機能面の充実ももちろんですが、やはりデザインが可愛くなくてはならないだろうと私にとある機種の画像を見せて「これ可愛いよね?」と聞くのです。確かに可愛い機種だったので、いいですね!と答えました。

ではいざ購入と、家電量販店に赴き若い女性店員に購入予定の機種を購入したいと伝え、念のため「これ若い女性に人気あるよね?」と聞くと、「あるにはありますが」と歯切れの悪い返事。理由を聞くと一言「だってカメラの形をしていますから」

A氏は可愛いカメラを探していました。でも(当時の?今も?)若い女性はカメラにカメラの形を求めていない。この事実に目からうろこが落ちる程の衝撃を受けたのでした。

カメラを見るたび思い出すこの記憶ですが、感情と記憶の関係性だけでなく自分の固定観念を常に疑わなくてはならない事にも気付かせてくれた素敵な目からうろこエピソードになっています。

ナスピアでは「知らなかった!」「そうだったのか!」といった「目からうろこ」の感動体験を大切にしたeラーニングを、日々企画・ご提案しております。

Written by S.Seki


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小さな気付きを好奇心に変え、学ぶ意欲を創造する