2022.11.01

デジタルでクリエイティビティは伸びるのか?

非認知能力シリーズの第3回は「クリエイティビティ(創造性)」に焦点を当てます。そもそも創造性とは何か、どの様にして測るのかを考えましょう。

「クリエイティビティとは何か」という問いに対して心理学者のM.チクセントミハイはその著書「CREATIVITY」の中で次のように定義しています。

「文化のある面に重要な変化をもたらすもの」

いろんなアイデアを持っていて個人的にすごい人はいるが、それは社会に受け入れられなければ何ももたらさないので、「創造性」とは社会に受け入れられ、その有り様まで変えるようなものを指すとしました。例えばウォークマンやiPhoneなどは良い例です。「創造性」とは経済学者のC.M.クリステンセンの言う「破壊的イノベーション」に通じるものがあります。

しかしあまり話を拡げてしまうと、本当に教育で創造性を上げられるのか?という疑問が生じます。そこでここでは

「どうすればそのような視点や発想方法を得られるのか」

について考えることとします。

チクセントミハイは「CREATIVITY」の中で、「創造的エネルギーの獲得」のための最初のステップは「好奇心と興味を育むこと」だとしています。何かに興味を持ち、それを(回り道をしながらでも良いので)突き詰めていくことが重要だとしているのです。これなら何とかなりそうです。

これをデジタルで計測できるのかについて考えましょう。これには2つの方法があります。

1つ目は事前にBig Fiveによる性格診断を行い、性格的傾向の「創造性」を確認してその後の学習方向性を決めるという方法です。先に好奇心の強さを測るのです。

2つ目はあるキーワードに対して、興味関心を誘発するリンク先を指定してあるWebページを提示するというものです。この方法ではアクセスログを取得・解析し、キーワードとの直接関係性の乏しい項目まで何ステップ閲覧したかを好奇心の強さの指標とします。

好奇心の強さが測定できた場合、「好奇心の育み方指導」が必要なのは好奇心が低い学習者に対してです。

先のリンク先指定教材は一つのスタイルで、学習者の自発性も尊重しつつ、調べ方の分からない学習者に対してはこちらで用意したお薦めを「強制リコメンド」するわけです。関連リンク集の提示はこの方法です。

教材が準備できない場合、筆者のお薦めはYouTubeでキーワードにあう動画を観て、あとは関連動画を芋づる式に観ていく方法です。キーワードに関連している知識を一定程度仕入れることができます。

Wikipediaでキーワードのページを読み、ページ内のリンクを辿っていくという方法もお薦めです。特に特定の領域について調べたい場合には参考文献や外部リンクが充実しているためかなり有用です。筆者も新しい領域を調べる際は使っています。英語版ページまで読むこともあります。

世界にコンテンツはあふれています。「創造性」を高めるために、これらの方法で好奇心を刺激してはいかがでしょうか。

Written by T.T.Yamada


『「杜のスタジアム」にみる次世代都市づくり』