2023.01.05

とある元教員の「ホワイト化」への提言【後編】

このように、教員が休めないのにはいくつかの原因が考えられますが、原因①②はeラーニングの導入で概ね解消できます。教員が休む日に予定していた学習をeラーニングに任せるのです。講義動画の視聴と確認用の演習問題をeラーニングで実施すれば、採点から評価までの自動化が可能で、教員の負担は大きく減るでしょう。学習の進捗が大きく遅れることも防げます。今、GIGAスクール構想によって、教員の役割が変わっていくと考えられていますが、それを踏まえても、教員の労働環境を改善していく上でも、eラーニングの更なる活用や、教育現場の業務の在り方の再考と改善に期待したいと思います。

もう1つ、自論を述べます。先に述べた通り、どれだけ過酷な労働で不平不満があっても多くの教員が働き続けるのには「子どものためにやるしかない」と精神を奮い立たせている部分が大きいと思います。このような状況の放置は、

「あなたたち(教員)が頑張って働かないと、何の罪もない子どもたちが被害を受けるよ?」
「だから決まった予算で、自分達で勝手に頑張ってね。」

と、暗に言われているかのようです。教育現場の改革を本気で志し尽力する方々がいる一方で、すごく悪い言い方をすれば「子どもを人質にとって」教員に強制労働を強いる構図・システムが、残念ながら出来上がってしまっていると思えてなりません。このようなブラックなシステムの継続は教員の精神疾患による休職や過労死に結び付くだけでなく、教育の質に大きく影響します。疲弊しきった教員と、元気で気力を充実させた教員のどちらが高いパフォーマンスを発揮するかは、火を見るより明らかでしょう。このようなシステムは早急に終わらせる必要があります。

ですから、本気で教育現場の「ホワイト化」を目指すなら、現場の教員が一丸となり本気を示す。ストライキ等の法的に禁止されている方法以外の手段で、「ホワイト化」の強力な推進を求める意思を団結して強く表明することが必要だと考えます。教員はこの状態を最早継続させるつもりなどないこと、そして現状の継続は他でもない子ども達の学びに悪影響であることを、社会に真に理解してもらうのです。

2019年、オランダ全土の小中学校教員が教員不足の解決や労働条件の緩和、賃金の見直しを求めてストライキを決行しました。このような事例が様々な国で見られる一方で、日本の公務員は労働基本権に制限があり、教員の場合は団体行動権、ストライキが認められていません。憲法で定められた「教育を受ける権利」等に直接的な悪影響となり得るからです。しかし、世界では公務員に労働基本権を認める国が増えつつあり、国際労働機関(ILO)は日本政府に対し公務員の労働基本権を認めるよう勧告を出しています。

日本の教職員が本気で団結する日も、そう遠くないのかもしれません。いつかそれが見られるならば、私は全力で応援したいと思っています。

Written by S.Fujiwara


日々の学習と社会を繋げるデジタル教材。
小さな気付きを好奇心に変え、学ぶ意欲を創造する

タブレット・PCで自宅で手軽に学習できる
小~高各5教科対応オンラインドリルはコチラ