2026.07.01
AI音声は凄まじく便利です。テキストを音声化する技術・TTS(Text-to-Speech)は進歩し、音声の高さ・速さ・感情・アクセントの設定、音声クローン化、対話音声の生成もできるようになりました。AIのモデルは日々改良され、その魔法のような音声に息を飲むこともあります。
主なメリットは、コストの大幅削減と修正対応の容易さです。弊社が行うナレーション制作の場合、通常はスタジオのエンジニア、ナレーター、ディレクター等が関わり、準備、収録、整音作業が発生します。これをAI音声にすれば、音声制作者1名でも対応可能になり、修正もすぐにでき、大変便利です。一方、AI技術を巡る法整備や運用ルールが過渡期にある現在、制作ツールの使用にはまだまだ注意が必要です。
① 権利関係
用途・使用音声によっては別途契約やクレジット表記が必要等、権利関係が複雑な場合があります。また、声優の音声無断使用が深刻となり、現在法務省等で「声の権利」保護のための議論が進められています。1ユーザーとしては「ブラックボックス」にも見えるAIツール。これらの権利関係をクリアできるか事前に吟味し選定する必要があります。
② 種々の情報漏洩
まず、未公開・非公開情報をAIに送信すること自体に注意が必要です。そして、テキスト・音声の入出力をAIに学習・利用される可能性を鑑み、事前に利用規約・使用条件等を慎重に検討する必要があります。
③ 音声制作者は(必ずしも)ナレーションのプロではない
発音の正誤判断を音声制作者に一任することになりますが、その発音が正しくない場合があります。また、以前ナレーターの方から「『正しい』とされる発音は変わる」「この言葉は現在こう発音するけど、以前はこうだった」「とある現場ではこの発音はNGだった」といった興味深い話を伺いました。また、「生成音声の間は短く、実際に読み上げると違和感があった」という方も。制作者が必ずしもナレーションのプロではないこと、ナレーターが現場で培ったノウハウを享受できないことは、踏まえておく必要があるでしょう。
つまり、手軽なAI音声ツールは数多あれど、それを正しく選び・使うリテラシーが必要なのです。弊社では、これらの「落とし穴」を埋める体制を以下のように整え、AIとナレーターの使い分けを含めてご提案します。
〇 データがAIに利用されない、セキュアな法人向け環境での制作
〇 ツールの仕様変更・最新規約等の継続的な情報アップデート
〇 権利保護・ビジネス利用において信頼性の高いツールの選定
〇 インストラクショナルデザインに基づく細やかな調整
個人的には、AI音声を含めてAIがeラーニングにおいて真価を発揮するのは、各ユーザーに対応するアダプティブラーニングだと考えています。弊社の理念「ナレッジ・スピア」の下、AIを活用したサービスの企画・開発を進めております。
Written by H.Owa