2020.08.27

「読む」と「書く」は表裏一体

筆者が高校生だった頃の話です。
「現代国語って、日本人なんだから特に勉強しなくてもわかるよね」
と思っていました。文章を読んで、意味が分かるかどうかという点だけに着目していたともいえます。もちろん漢字だったり語彙だったりは覚えるなりする必要があるのですが、こと「文章読解」については、筆者は勉強する必要があるとは思っていませんでした。そのため、成績を巡って悲喜こもごもあったのですが…

それはさておき、筆者が大学生になってから感じたのは、
「読解力が身についていなければ、まともな文章は書けない」
ということです。実際に文章を書いてみたときの経験を紹介しましょう。
自分では十分他人に伝わる文章として書けた思うものでも、2~3日経って読み返すと、何を言いたいのかが分からない文章になっていることが往々にしてありました。他者に伝わる文章を書くのは難しく、文章の構成はもちろん、言葉や接続詞の使い方など、様々なテクニックをしっかり身につけ、その使い方を考えないといけなかったのです。

「書く」スキルは「読む」時に求められるスキルの逆パターンとでも言えば良いのでしょうか。相手に伝わりやすい文章というのは、読みやすい文章に他ならなかったわけです。どういう文章が読みやすいのか、伝わりやすいのかを知らないことには、良い文章を書くことはできません。高校生の時に感じた
「勉強しなくてもわかるよね」
は、あくまでも、教科書に載っている文章がわかりやすく、意味を読み取りやすい文章が選ばれていたからでした。そのため、その文章を読めたからと言って、自分の読解力が高かったわけではないことを、思い知らされたのでした。

事実、東京大学の新井紀子先生が中心になって実施しているRST(Reading Skill Test)では、大人であっても読解力の成績はボロボロだということが分かっています。おそらく「書く」スキルのテストをした場合、やはりボロボロなのではないでしょうか。
(ただし、RSTで用いられている問題が本当に「読解力のみ」を見ているのか、それとも「ある程度の語彙力を前提としている」のかはわかりません。)

いずれにせよ、文章を意味の取り違えなく(誤読無く)読み取るスキルは、他者に伝わる文章を書く上で大変重要です。そしてそのスキルが身についていない限り、他者に伝わりやすい文章を書くのは無理でしょう。
「いや、そんな事は無い」
と言われるのでしたら、読んでみてすぐに意味の分かった文章を準備し、何故その文章が理解しやすかったのかを説明してみてください。その文章には他者に伝わりやすくする工夫があるはずです。もしあなたがそれを理解できているのであれば、伝わりやすい理由を説明することができるはずです。そしてその説明ができる人は、「書く」スキルもおそらく高いだろうと考えられます。さて、いかがでしょう?

Written by T.T.Yamada


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