2020.10.30

社会は何の役に立つ?(STS その2)

前回に続いて、今回もSTSについての話です。今回はSocietyのSです。
社会科は暗記科目と位置付けられがちで、暗記でテストを乗り切ったという人も多いでしょう。暗記も重要ですが、社会科で得た知識は使えてこそ意味があります。

例えば日本史や世界史といった歴史学。年号や人物名を暗記することよりも重要なのは、出来事が起こった年代順を見て、どの様な経緯でそのような事件などが起こったのかという因果関係を理解することです。物事には原因があり、その結果として起こるのです。そしてその結果が次の出来事の原因となります。例えば筆者が「歴史的な出来事が起こった」と思ったのは1989年11月9日の「ベルリンの壁崩壊」です。
もともと共産圏の国々は経済の悪化によって疲弊していました。それを解決する手段として、旧ソ連で「ペレストロイカ」という改革が実行されました。この改革が契機となって自由を求める運動が共産圏の国々で活発化。その結果、旧東ドイツでも自由を求める運動が加速し、壁の崩壊へと繋がったのです。さらにはこれが原因となり、ソ連という国は崩壊してしまいます。このように流れを把握することが、これからの未来を予測する役に立つのです。

同じ様に地理、政治・経済にもそれぞれのポイントがあります。折角ですのでSTSで話題になるヴァーチャル・ウォーターを例に地理や政治・経済の役割を考えてみましょう。
ヴァーチャル・ウォーターとは、食料を輸入している国が、その食料を輸出した国からどれだけの水資源を仮想的に得ているのかを表したものです。環境省のWebサイトによれば、1kg のトウモロコシを生産するのに、1800 リットルの水が必要となるとされています。牛肉の場合ですと、トウモロコシなどを餌として大量に与えることで牛を育てます。牛肉1kg を生産するには、約20000リットルもの水が必要となります。
つまり食糧の輸入国は自国で生産するならば必要となる自国の水資源を使わず、他国に依存し輸入しているわけです。その国が日本よりも水の確保に苦しむとしても、です。

この輸出入の量や、食糧の輸出国の様子は地理で学習する内容です。また、なぜ自国で生産せずに輸入で済ませるのかは、経済や政治の問題です。経済的にその方が安上がりになる場合もありますし、食糧の安全保障について政府や政治家、政治家を選挙で選ぶ国民が無関心であるという場合もあるでしょう。
必要な水の量は理科で学ぶ内容かも知れませんが、日本のような水が豊富にあるとされている国でも、大量の水を他国から輸入しているのが良いかどうかは、社会科の知識が必要です。社会科は暗記で終わるだけのものではなく、活用してはじめて意味のあるものとなるのです。


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