2021.04.02

国際規格 SCORM, LTI

ずっとコラムを書き続けてきて、
「そういえば、ウチはeラーニングの会社なのに、eラーニングシステムのことについては書いてない」
という事に気がつきました。ということで、今回はeラーニングにおける国際規格の話です。

もしあなたがeラーニングで何かの学習をしたいと考えたなら、どこかの企業や団体が提供しているWebサイトやアプリを使って学習していくことでしょう。その際に自由に使えるものもあれば、会員登録を行い、ログインしなければ使えないものもあると思います。今回は後者の
「ログインしないと使えないもの」
についてです。

これらのサービスにログインすると、学習できるコース(教材)が表示され、そこから学びたいコースを選択して学習を進めていきます。このようにログインの仕組みと学習教材をコースとして提供できるシステムをLMS(Learning Management System:学習管理システム)と呼びます。LMSは世界中で様々な企業・団体が有料または無料のシステムを提供しています。企業や学校はこれらのシステムを導入して学習ができる環境を整えているのです。

さて、システムはさておき、eラーニングでは学習教材を揃えるのが大変です。全てを自分たちで作ることはできませんから、どこからか購入してくることもあります。その際に、LMS毎に作り直しが発生するようでは、手間も費用もかかってしまいますので、どんなLMSでも共通で教材(コンテンツ)を利用できるような国際規格が作られています。それがSCORM(Sharable Content Object Reference Model:共有可能なコンテンツオブジェクト参照モデル)です。大きく分けるとSCORM1.2とSCORM 2004の2種類があります。2004はもともと1.3として策定されたものが2004という名称になりました。1.2ではできなかったことができる様になっていますが、制作が大変なため、日本国内では1.2を利用しているコンテンツおよびLMSが主流です。

ただし、LMSによっては完全に対応できていない場合もあります。10年以上前にあった例では、Internet Explorer以外のブラウザでアクセスするとデータのやりとりができなかったりしました。また、MoodleというフリーのLMSがあり、そこで動作する様にコンテンツを制作しても、それをインストールするとまったく異なる挙動をするLMSに苦労させられたこともありました。
その上、SCORMではLMSと同じサーバーにコンテンツをインストールする必要がありますので、比較的自由度が少なくなります。

それを解消するためというわけではありませんが、LMSとコンテンツを別のサーバーで動かす事のできるLTI(Learning Tools Interoperability:学習ツール相互運用性)という規格も存在します。現在のヴァージョンは1.3で、国内で対応しているLMSは少ないものの、欧米では広く用いられています。

弊社のe-GOALは現時点で、SCORM1.2に対応しているLMSから呼び出して利用することができるようになっています。今後はLTI1.3対応も考えてはいますが、それよりも次のxAPI, cmi5への対応を行うかも知れません。
次回はxAPI, cmi5について紹介しましょう。

Written by T.T.Yamada


学習ログを取ることで、弱点分析や学習態度を分析する
eラーニングシステム。PC、タブレット、スマホに対応