2021.06.11

デジタル教材開発の考え方

今回は教材開発について考えてみたいと思います。

現場で教えている教員や講師の方々は、これまでに様々な教材や教案を作ってきたことでしょう。しかし、GIGAスクール構想で渡されたタブレット、DX化ということで整備されたパソコン、そしてなによりも新型コロナ感染拡大を受けてZoomなどのオンライン講義・研修を余儀なくされた昨今、これまでの板書形式や紙に印刷された教材の使い勝手に悩まされたことがあるのではないでしょうか。

デジタル機器にはデジタル教材、特にオンラインで利用できる教材を用意し、それで学習を進められるようにするのが最良です。しかしアナログのものをそのままデジタル化しようとしても、大抵の場合は上手く行きません。なぜなら、対面で利用してきたアナログ教材は対面指導に最適化されていますので、環境が異なるオンライン化に対応できないからです。例えて言うなら、医師が聴診器で診察していたのを、オンライン化してテレビ会議を利用し
「デジタル聴診器は届きましたか?」
「はい」
「ではデジタル聴診器のスイッチを入れて、今から言う順番にチェストピース(聴診器で体に当てる部分のパーツ名)を体に当ててください。その際、心音が画面に表示されますので、画面が私から見えるようにしてください」
とやっているようなものです。このやり方は、患者からすると面倒なだけです。

もしオンラインで利用できるデジタル聴診器を作るのであれば、心電図を取る機械のように、聴診器を当てたい場所の数だけチェストピースを繋げた機械を用意し、
「指定の場所にチェストピースを全て貼り付けてください。貼り付け終えたら、スイッチを入れてください」
という説明を見てもらえば良いのです。そして取得したデータは自動でネットワークを使って送られるようにすれば良いでしょう。

同じ様に、教材や教案も大幅に見直す必要があります
「教科書の10ページを開いてください。今日はここから説明していきます」
「この部分を図で書いてみると…(黒板に板書)」
という動画を作って見せたところで、反応も理解できたのかどうかも分かりません。Zoomを使ってリアルタイムでやっていても同様です。
オンラインでテストを提供し、誰が正解して、誰が間違えたのかをリアルタイムにチェックする。個別最適化もできます。
国語で文章を読むのであれば、パソコンやタブレットの画面に読んで欲しい内容を表示し、マイクに向かって読んでもらいます。そうすれば声の大きさはボリュームで判断できます。また「Speech to Text」という技術を使えば、読み間違えはなかったのか、滑舌はどうだったのかなども、自動でチェックできます。しかも、教員がいなくても、自習で何度でもチャレンジすることが可能です

教材はあくまでも学習者の能力が伸びることを最優先に開発するべきです。今の教授法に縛られないように、発想を柔軟に持ちましょう。

Written by T.T.Yamada


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