2021.10.22
前回「ワークシートをデジタル化してみる」ではDXにまで対応するワークシートの在り方について私案を紹介しました。今回は評価基準について考えてみましょう。
まずは紙のワークシートを評価するときはどうだったのかを考え、そこからデジタル化した場合にどう変えていくかを考える、という2段階で考えます。
紙のワークシートの評価基準 → デジタルワークシートの評価基準
①学習結果に対する評価基準
紙のワークシートの場合は、学習結果に対して評価していたでしょう。ワークシートは学習または作業手順を明示するように作られていますので、キチンと手順通りに学習したのかをチェックするはずです。同時に、各手順で目的としている目標が設定されていますから、記載された内容がそれを満たしているかどうかが重要です。
デジタル化されてもワークシート自体が学習または作業手順を示しているのは同じですから、この部分は変わりません。
②学習ログからわかる追加の評価基準
学習ログ取得によって変わるところは、学習または作業にかかった時間、その他の追加情報に基づく評価です。
ワークシートの各項目に対する時間がわかると何が良いのでしょう?最も重要なのは個人の学習時間が指導案で想定していた学習時間(想定時間)と比較してどうか、また受講者全体の平均時間と比較してどうかでしょう。つまりワークシートの各項目には学習時間の目安が必要です。
さて、下記の3つのケースで考えましょう。
①平均時間が想定時間に近い
②平均時間が想定時間より大幅に短い
③平均時間が想定時間より大幅に長い
①の場合、必要な書き込みなどを短時間で終えている学習者には、じっくり取り組むよう指導するか、別の作業を準備する必要があります。一方、想定時間を大幅に超えている学習者は、どこで詰まったのかを確認する必要があります。
②の場合は学習内容が不足しているか難易度が低いかのどちらか、③の場合は学習内容が多すぎるか難易度が高すぎます。どちらも内容の調整が必要です。
さらに項目毎にかかった時間と書き記された内容との関連性から得られる情報が何かあるはずです。
項目毎の学習時間×書かれた内容の量 → 適切な学習量か?
項目毎の学習時間×書かれた内容の質 → 深い学びができているか?
各項目の学習時間比率 → 時間配分は適切か?
京都大学で開発されたLEAFシステムの様に、考えた手順をペンなどで手書きできるようになっていればさらに良いでしょう。そうすれば書き込みの止まった場所がわかり、どこでつまずいていたのかというデータも取れます。
これらを使い、想定された効果を発揮できるような学習を行えたのかを確認し、
「計算手順を再確認しましょう」
「調べ方を工夫しましょう」
「まとめ方を見直しましょう」
などが本人にフィードバックできる評価基準を考えてみませんか。
Written by T.T.Yamada
日々の学習と社会を繋げるデジタル教材。
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