2021.11.12
某大学の広報として勤務していた時の事です。就職に非常に力を入れていたその大学では就職活動の時期になると就活生全員との面談を行っていました。1時間程度の面談を1人あたり3回。当然就職課ではない私も駆り出されました。
第1回目の面談時。とある職種を志望していると、彼の専攻からはかけ離れた職種に就きたい事を伝えられました。では何故専攻をその職種に添ったものにしなかったのかなど聞いている時間も、「1ヵ月前にふとそう思ったんだ」と言う彼をそれはおかしいと諭す時間もあまり残されてはいません。彼の言い分は理解できます。これから大きな成長が見込める魅力ある職種でしたから。そこで彼にその職種に関する知識を披露してもらう事にしました。結果は1ヵ月前に急に思い立ったという言葉から想像できる状態を上回る嬉しい誤算…とはならず、想像通りのものだったのです。
私は就活を行っていた頃、上場会社の人事部長だった叔父に言われた言葉を思い出していました。面接官は面接のプロ。採用希望者のとってつけたような知識は剥がれやすいメッキのようなもの。メッキである事は悪くない。剝がれにくいメッキとなるまで勉強した事こそが重要なのだと。
幸い当時の業務は彼の志望職種の方との打ち合わせが多いものだったので私にはその職種の知識がありました。私は、知りうる全てを今から話すので録音して次回の面談までに最低限それらの内容をスラスラと言えるようにするようにとの宿題を出し1回目の面談を終了しました。
2回目の面談で彼は録音した内容を覚えて滑らかに説明できる状態にありました。しかし、そこから志望動機へ繋がるルートが見えません。質問への回答も想像通りでした。すぐにはがれるメッキです。
その後3回目の面談で業界知識と志望動機をリンクさせ、上司に無断で行った4回目の面談で想定されるあらゆる質問に対する回答を暗記させ、結果運よく想定通りの質問が来た企業から内定を頂いたと喜びの報告を貰ったのです。
職員としては非常に嬉しい報告でしたが、私の知る業種であった事、質問内容の運要素が強い事、彼が録音した私の言葉を暗記し話せるようになった努力家であった事など、汎用的ではない面談であった事は否めません。失敗として考えたのは2回目の面談。知識の定着を軽んじていた私に問題があったのです。時間がない事を理由に所謂「腹に落ちる」状態を飛ばしていたのだと痛感しました。
今私はこの経験から弊社の教材である「SPI.StudyCamp」を導入頂いた大学様の説明会で、就活生に腹落ちするまで繰り返し学習して欲しいと伝えています。運よく正解しても練習での事。本番で同じ結果が出るとは限りません。SPIだけでなく就活全てのシーンで腹落ちし、貴方のものになった言葉や知識を披露して欲しいと願っています。
また、その状態に近づけるような仕掛けを弊社の教材には組み込んでいきます。
Written by S.Seki