2022.05.13
学校現場での授業にICTを導入する方法の一つとして、グループ・ディスカッションを見える化するというものがあります。30~40人いるクラス内で、4人でグループを作ると最大で10グループができます。これを一人の教員のみで、それぞれのグループ内で話し合われている内容を事細かに見て回るのは事実上不可能です。
それでもこれまでは教員が教室の中を歩き回りながら、何とか議論の内容を聴き取ってアドバイスを行うということをやってきました。とはいえすべての議論を聴き取れているわけではありません。もちろん筆者もそんなことはできません。
ところが高校でも総合的探究の時間や理数探究などの「探究」を前面に打ち出した授業が今年度から導入されたことで、このグループでの議論というのが非常に重要になっています。STEAM教材など対応する教材も増えていますが、議論を上手くコントロールできなければ「探究」の授業の威力は激減してしまいます。
この手の問題に20年以上前から研究者は取り組んできました。筆者が最初に知ったのは2003年のことで、その頃にはパソコン教室を使い1人1台のパソコンがある状態で、グループでの議論をチャットでやりとりするという研究が行われていました。お話しをうかがったのは神戸大学の先生でした。
2010年代に入ると指向性を持ったマイクを使って発言者を特定するという手段で、グループの会話から発言者を特定して文字起こしをすることで、チャットを使わなくても良い環境が生まれました。既にいくつもの研究が報告されてもいます。
例.対話分析システムに基づく学習グループ編成支援の研究
新型コロナウィルス感染の影響で1人1台の環境が前倒しで整備され、ビデオカメラとマイクを利用した遠隔授業も行われるようになったため、以前と比較すると教室内でマイクを使うことに対する拒否感のようなものは相当薄れたのではないでしょうか。
そこで探究の授業を上手く進めるために、グループ内での議論を自動で文字起こしし、個人別の発言割合や、発言に対するリアクションがどの様に行われているのかを分析することをお薦めします。
この分析によって、
1人が中心になって引っ張るグループ
全員が意見を出し合うグループ
など、グループの特性を知ることができる様になります。
また
一人一人の発言量や、ある生徒に対する別の生徒のコメントがどの程度の頻度で行われるか、それは議論を促進しているのかそれとも発散させているのかなども知ることができます。
もちろん教員が授業中にリアルタイムで追いかけることは難しいですが、授業後に振り返りを行い、次の授業時にグループ毎に有効なアドバイスを与えることが可能となるでしょう。これが「探究」の授業をより良いものにしてくれるはずです。
この技術に関してはハイラブル社が積極的に取り組んでいますので、導入事例を確認し、相談することもお薦めします。
総合学習や探究の授業にも最適。STEAMにも対応した
ワークシート教材