2022.05.27

正しく使えていますか?誤って使われる言葉たち

 日本語には、誤った意味で使われている言葉が数多くあります。これから、多くの方が誤った意味で使っている言葉を3つ紹介します。(※「国語に関する世論調査」参照)さて、あなたは次の言葉の意味をきちんと理解できているでしょうか。

レベル1:約50%が誤用

「ねえ、昨日放送されていた映画なんだけど、見られなかったから話のさわりだけ教えてくれない。」

このように友だちから尋ねられた場合、あなたは、映画のどの部分をお話しするでしょうか。 「映画の冒頭を話す」と考えた方は、不正解です。話のさわりの本来の意味は、「話の要点のこと」です。つまりこの場合の話のさわりとは、映画のオチやクライマックスと解釈するのが適切なのです。(「平成19年度「国語に関する世論調査」の結果の概要」参照)

レベル2:約60%が誤用

「真面目な話をしていたのに、お父さんの急な『オヤジギャク』で家族全員失笑してしまった。」

さあ、どのような情景が浮かんできたでしょうか。

このように、真面目な雰囲気をぶち壊すお父さんの「オヤジギャク」でしらけたり呆れたりする家族を想像したのではないでしょうか。実はこれも間違いです。多くの人が、失笑の意味を「笑いも出ないくらいあきれる」と誤用しており、本来の意味は「あまりのおかしさに、思わずふき出してしまうこと」なのです。つまり先の例文は

このように、真面目な雰囲気だったにも関わらず、お父さんの「オヤジギャク」があまりにもおもしろかったため、家族全員が思わず笑ってしまったと解釈するのが正しいのです。(「平成 23 年度「国語に関する世論調査」の結果の概要」参照)

レベル3:約70%が誤用

「ベンチでは、監督が今日の作戦について選手に檄(げき)を飛ばしていますね。」

監督が選手たちに大声を張り上げ、今日の作戦を叱咤している姿を思い浮かべたのではないでしょうか。これも誤った解釈です。多くの人が、檄を飛ばすの意味を「元気のない者に刺激を与えて活気付けること」と考えています。本来の意味は、「自分の主張や考えを,広く人々に知らせて同意を求めること」。つまりこの場合は、監督が大声を張り上げているのではなく、ただ単に作戦の説明をしているだけなのです。(「平成 29 年度「国語に関する世論調査」の結果の概要」

さあ、あなたは正しく意味を理解できていたでしょうか。上記の言葉について誤った解釈をしていた人も、少なくないかもしれません。しかし、言葉の意味は時代と共に変化します。例えば「※破天荒」のように、誤用され続けているうちに、本来とは違った意味で一般化したという例も珍しくありません。上記のものも、そうなる日が来ることが遠くないのかもしれません。ちなみに「檄を飛ばす」の誤用については、弊社の教材「まなブリッジドリル」で、小学校6年生用長文読解の題材として扱っております。開成教育グループが長年教育現場と向き合い、培ってきた問題、解説技術が詰まっていますので、ぜひお試しください。

文化庁が国語施策の参考とするため,全国16歳以上の男女にむけて平成7年度から毎年実施している国語に関する調査。
※破天荒‥本来「今までだれもしなかったような事をすること。前代未聞」という意味。現在では、豪快、大胆不敵、少し無礼などのニュアンスが含まれている。

Written by S.Fujiwara


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