2022.08.01

教育×VR

かねてより弊社教育コラムをご覧いただき誠にありがとうございます。8月〜9月は「EdTech/eラーニングの最前線を考える」というテーマの下、全4回のコラムをお届けいたします。第1回目の内容は「教育×VR」です。 

「VR」という言葉自体は、私たちにとって既に身近なものとなっていますよね。VRは「Virtual Reality」の略であり、直訳すると「仮想現実」となります。一般的には、ディスプレイ付きのゴーグルを使用することで別世界の視野が360°広がるテクノロジーで、ゲーム等のエンターテイメントで活用されているもの、といったイメージかもしれません。教育の場においても利用される事例が増えています。特にアメリカではEdTechの最先端分野の一つとなっています。 

例えば、折りたたんだボール紙とスマートフォンを組み合わせたVRデバイス「Google Cardboard」を用いた社会科の実践事例を見てみましょう。 
「イタリアのヴェローナへ社会見学に行ってロミオとジュリエットの舞台を見学しましょう。」「水中を見学しに行きます。用意はいいですか?」「これが万里の長城です。万里の長城の距離を歩くには、どれくらいの時間が必要ですか?」

これまでの授業では聞いたことがないような話や発問が先生の口から飛び出します。 遠く離れた場所での体験学習は、社会科見学(遠足)や修学旅行を通して行われています。しかし、それではほとんど場所が、時間やコストの問題で現実的に訪れることが困難なのは容易に想像できます。VRでは、そういった課題をクリアし、教科書や写真では伝わらないリアルな体験を今いる場所から得ることが可能なのです。

日本でも、理科の実験や観察ができるVRアバターを相手にした英会話コンテンツ等、教科を問わずVRを用いた体験学習が広がりを見せています。また、学校現場だけでなく、企業でも対面訓練用としてVR教育コンテンツが導入されている事例がいくつもあります。例えばinstaVR社はコンビニなど小売業での接客研修のための教材を、シルバーウッド社は福祉施設で働く介護士のために、認知症の利用者がどの様に感じているのかを体験できる教材を提供しています。医療現場では手術前に部位の状態を細かくチェックするためのシミュレーションなどとして使われています。これはHoloeyes社などが研究を行っています。

VR教育が生徒の学習理解を深めるための手段として一役買っており、その効果に大きな期待が寄せられています。この6月には「TOKYOデジタルリーディングハイスクール研究指定校(先端技術推進校・VR等を活用する学校)」として、都立小台橋高等学校と都立墨田工業高等学校が選定されました。VR等の先端技術を活用した授業実践とその実証研究が進められるので、具体的な教育効果が今後明らかになってくる見通しです。さらに、文部科学省が推奨するアクティブ・ラーニングの視点においても、VR教育が能動的な学習の一旦を担うと期待されます。

Written by S.Fujiwara


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