2023.06.01

展示会からまなぶ多角的な視点

今回から、ナスピアコラムではテーマを一新。2023年度はナスピアが掲げる「エデュテインメント(まなび×あそび)」の中でも、「あそび」に力点を置いて、各コラムニストがお送りする予定です。 
おおまかなテーマは「○○してみた」…今回は私が「展示会でまなびを得てみた」お話です。 

今回私が目を付けたのは、いわゆる電車の中吊り広告などでよく見る、『教養高そうな』美術・芸術展…今までは知識もなく恥をかかないかと半ば敬遠していた未知の世界です。 

訪れたのは大阪「堺アルフォンス・ミュシャ館」。こちらでは2023/7/30まで、「おいしいミュシャ展」が開催されています。 
この展示会を選んだのはサブテーマになっている「5感であじわう」に惹かれたからです。おいしいものを食べようとしたわけでは断じてない 

堺アルフォンス・ミュシャ館入り口(撮影:ナスピア)

結論から言えば、ここが、私が得たまなび「物事を多角的に捉えることの重要性」につながります。 

私は昔から、こうした展示物は「気になるものだけを見て、それ以外は流す」、例えるなら「遊園地で気になった乗り物だけ乗る」ような楽しみ方をしていました。 
恥ずかしながら、こうした展示物には全体を通して知ってほしい、独自の「ストーリー」「着眼点」があると気付いたのは社会人になってからだったのです。 

今回の展示会は5感に根差したものをテーマに、たとえばミュシャの作品の中でも「みずみずしい食べ物が描かれているもの」や、「布のやわらかな質感が特徴的なもの」といった、「興味を持ちやすい」切り口を提示してくれていました。 

着眼点「味覚」をイメージしやすいよう、ミュシャをイメージしたオリジナルカトラリーを展示
(撮影可能ブース:ナスピア)

たとえば、今回の展示物の中にミュシャの絵をパッケージにしたビスケットの缶がありました。 

※撮影不可の展示物だったため類似品のツイート写真を引用しています

今までなら、「ミュシャという画家はビスケット缶もデザインした」までで思考を止めていたでしょう。それだけだと、一面的な事実に過ぎません。 
多角的に見れば、現代と異なるパッケージ感…例えば、商品自体ではなく、それを楽しむ『人物画』である点や、リトグラフ(石版画)のために、他の絵画よりもデフォルメしている点から、新しい視点につなげることもできそうです。 

「感性を養う」とはよく言いますが、有識者が考える「ストーリー」「着眼点」をまなぶことで、新しい視点を得られるのも展示会の面白さだと思いました。 

もしも、このまなびを活かすとすれば、今までになかった視点から作問してみるのも面白いかもしれません。 
今まではただの「クイズ」になっちゃうよね、と切り捨てていたような雑学や、日々進化するスラング(俗語)etc…、そんな思いもよらない視点が、今の入試で求められている「教科横断型」の学習にもつながるかもしれませんね。 

Written by Y.Nakai


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