2021.09.03

「やる気」を考える ①

昨今の自身の困った口癖に、「MPが足りない」があります。MPは、ロールプレイングゲームにおいて魔法を繰り出す際に消費する魔力を表します。無論、自分に魔法など繰り出せるはずもないのですが、何か行動するための意欲、「やる気」が不足していてできない時には、ついこのような言葉が口を衝くのです(ゲーム脳でしょうか。何のこっちゃですね)。今回は、「やる気」について考えます。

研修や教材の企画において、「やる気」すなわち「学習意欲」を高める工夫が重要になることは、言うまでもありません。この学習意欲を喚起する、インストラクショナルデザインの著名な手法に「ARCSモデル」があります。これは米フロリダ州立大学の名誉教授であるジョン・M・ケラー氏が提唱した動機づけのモデルで、下記の4つの要素の刺激が学習を動機づけるとし、研修や教材制作等、教育の世界において広く活用されています。

「注意」…面白そうだと思わせること

「関連性」…やりがいを感じさせること

「自信」…やればできそうだと思わせること

「満足感」…やって良かったと思わせること

弊社の手がけたeラーニングにおいても、このARCSモデルを活用しています。例えば、株式会社エデュプレス様のご依頼で制作した「社会人常識マナーeラーニング」では、各学習の冒頭で社会人として実際に困りそうなシチュエーションをコミカルに描くクイズを出題し、①②の要素を刺激しました。また、次の画面ではその単元の学習で習得することをミッションの形で提示し、③の要素を追加。さらに、学習の終わりには受講者を明るくねぎらって承認する、肯定的なフィードバック画面を設け、④の要素も追加しました。

 社会人常識マナー eラーニング

その他にも、スモールステップ方式の採用等、弊社のeラーニングでは学習意欲を高めるための様々な工夫を取り入れています。

 ナスピアのeラーニング

では、冒頭で申したところの「MP」も、このARCSモデルを応用すれば何とか回復するのかを考えてみると…いくらかは回復しそうです。しかし、何もしたくない、面白そうな遊びすら億劫に感じる疲労時には、ひたすら睡眠をとって休養し、ぼうっとする時間を設ける等、行動する前段階としてコンディションを整える必要がありそうです。

疲労時にやる気が湧きにくいことは、経験より既知のことと思います。科学的に見ると、やる気は脳内の神経伝達物質であるドーパミンが大きく関わっているといいます。一般に脳内のドーパミン増加はやる気を高めますが、疲労によりドーパミンが減少するとも考えられています。つまり、私の申すところの「MP」は、敢えて呼称するならば「DP」等とした方がいくらか適切になりそうです。

次回に続きます。

Written by H.Owa


株式会社エデュプレス 社会人常識マナー eラーニング

ナスピアのeラーニング