2022.03.18

オンライン授業・教材のアイデアその4(インストラクショナルデザインを踏まえて)

インストラクショナルデザインでは目標設定開発、実施評価・分析、改善という流れが必要であり、改善方針は次の目標設定に活かされなければ意味がないという話を前回まで書いてきました。
ではこれらを取り込んだオンライン授業や教材開発について考えましょう。

「インストラクショナルデザイン その1(概要・企画)」 で書きましたが、そもそも対面でもオンラインでも、変化の方向と程度を最初に設定しなければなりません。つまりもし完全にオンラインのみで行う事を想定するのであれば、
「事前に想定した学習者のレベル」
が正しいのかどうかを把握する必要があります。つまり最初に学習者のレベルが想定通りであるか判断するためのテストが必要です。

そしてそのテストの結果を受けて表示されるコンテンツが変わる様にします。最終的な目標は同じレベルにするわけですから、学習者を
①標準的なレベル
②標準よりもスキルが身についているレベル
③標準をかなり下回るレベル

にわけます。①は想定通りにコンテンツを表示します。②はできれば短縮版が欲しい所ですが、
「身についていると思いますが、復習だと思って受講してください」
などの文言を表示した上で受講してもらっても構いません。
万が一「完全にクリアしているレベル」の学習者がいた場合は、この段階で合格を出しても良いでしょう。

問題は③の学習者です。そのまま①のレベル向けコンテンツを表示しても学習内容についてくることはできません。ですから事前学習用の別コンテンツが必要です。
すでにそのコンテンツが存在している場合は先にそちらを受講させ、クリアできたら再びこちらのコンテンツに戻ってきてもらうというルートを設定します。
Qubenaatama+はAI(人工知能)を使ってコンテンツの出し分けコントロールを行っています。ただし気をつけないと筆者が「無限戻し」と読んでいる状態に陥り、どんどん基本的な内容に戻っていきます。教育機関での内容でいえば、小学校3年生、場合によっては小学校1年生のレベルまで戻されますので注意が必要です。

さて標準的なレベルの学習者に学習用コンテンツを表示したら確認テストを表示し、解答を促します。その結果を受けて合格と判断するのかそれとも再受験を促すのかを判断します。できれば全体を幾つかの章に区切り、章ごとの確認テスト(ゲームでいうところの中ボス)を課しましょう。そうすればいきなり最終テスト(ラスボス)に当たるという状態を回避できます。

最終的に学習者全員が合格までたどり着いた場合、今度はコンテンツの評価に移ります。もし確認テストで以上に正答率が低い設問があった場合は、学習コンテンツ内での説明方法が悪いかもしくは確認テストの設問内容が不適当だと考えられます。そこまで含めて見直しを行いましょう。

Written by T.T.Yamada


学習ログを取ることで、弱点分析や学習態度を分析する
eラーニングシステム。PC、タブレット、スマホに対応